GP輝凛E4 第4回 担当●河上裕マスター
「みんなで一緒に歩こうね」
寒い.風がビュービュー吹いてても,そうでなくともとにかく寒い.冬だからと言われたらそれまでなんだけどね.
じっとまっすぐ,歩いていく先を見ていたら,葉っぱのない木がたくさんあって,ざわざわと風に揺られているのが見える.何だかまるで,風に乗ってダンス踊ってるみたいにも見える.
「あ,そうだ」
フォルはそこまで考えて,ふと思い出したんだ.皆に何か,得意の木彫りでもプレゼンとしたら喜ぶかなあって.
だって皆,何だか暗いんだもの.リナちゃんも恐がってるし,アビーくんは居ないし,ピカピカちゃんは何だか怒ってるし,まるでお葬式みたい.皆下向いて歩いてる.楽しいはずの冒険なのに,こんなのって良くないと思わない?
フォルは,道を歩きながら適当な材料が落ちていないかどうか,一生懸命探すことにしたんだ.
フォルが歩きながら,何やら地面をキョロキョロと探すような格好をしているのに気付いたルゥナ・メイフィールドは,彼女の服のはしをつんつんと引っ張る.
「なぁに?」
スケッチブックを見せたルゥナ.
「”何か落とし物?”ううん,違うの.木彫りをしようかなって思ってて,その材料を探しながら歩いてるの」
フォルはそう言って,ひとつの木切れを,ルゥナに見せた.
「”手伝うね”・・・ありがとう」
うふふ,と二人は微笑みあった.
リュアナは二人が遅れ始めたのに気付いたらしく,振り返った.
「どうしたんだよ」
振り返るリュアナに気付いて,ピカピカが声をかける.
「二人がね,何だか遅れているような気がしたの」
後ろを気にするリュアナを見て,ピカピカもフォルとルゥナの方を振り返る.何やら地面をキョロキョロと見回しながら,ゆっくりと歩いている二人.
「本当だ,何してんだあいつら?」
そう言いつつ,リュアナとピカピカも遅れだす.
「おい,何してんだよ」
突然ピカピカに声をかけられて,フォルとルゥナが少し驚く.
「あ,ごめんね.ちょっと木彫りの材料を探してたの.もう大丈夫だよ」
えへへ,とバツが悪そうに笑うフォル.その手には木切れが沢山あった.
「ふぅん・・・」
ピカピカとリュアナがきょとんとした顔をしているのを見て,フォルとルゥナは顔を見合わせて微笑んだ.
GP輝凛E4 第4回「みんなで一緒に歩こうね」終わり
GP輝凛E1 第5回へ続く
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